記事一覧
AI活用プロンプト非エンジニア動画制作やってみた

「おしゃれな感じで」をやめたら2本目も揃った。でも3本目で破綻した話

note.comでも読む

「おしゃれな感じで」と頼む人物の横で、まとまりのない配色見本がバラバラに並んでいるパソコン画面

AIに動画を作ってもらうとき、私は最初「おしゃれな感じで」と書いていました。何が悪いのか、当時はわかっていませんでした。

1本目はうまくいったんです。なのに2本目を作ったら、なぜか別のシリーズのように見える。3本目も、なんか違う。

これ、センスの問題ではありませんでした。指示の中に、毎回こっそり消えてしまう「部品」があっただけだったんです。しかも解決したのは、指示を細かく書くことではなく、ひとつの情景に置き換えることでした。


1本目と2本目で雰囲気が揃わない。それはセンスじゃない

Xを眺めていると、「前に作ったものと雰囲気が揃わない。同じツールで作ったのに、並べると別々のもののように見える」という声をときどき見かけます。

最初、私もそれを「自分にセンスがないからだ」と思っていました。色の選び方が悪い、構成が下手、なんとなく目が悪い、と。

でも、違いました。ずれる理由は、もっと単純なところにあります。

私が使っているのは、HyperFramesという、HTMLで画面を作って、それをMP4の動画として書き出せるツールです。非エンジニアの私が、これで全6回のYouTube講座を作り、いま順に公開しています。その過程で気づいたのが、「AIへの指示には、毎回欠ける部品がある」ということでした。


指示の3部品のうち、「雰囲気」だけが毎回こっそり消える理由

AIへの指示は、ざっくり3つの部品でできています。

  • 「何を」作るか
  • 「どんな雰囲気」で作るか
  • 「何秒」か

「何を」を書き忘れると、AIは動けません。「何秒か」を書かないと、AIが勝手に決めます。この2つは、抜けた瞬間に結果がおかしくなる。だから自然と、毎回書くようになります。

ところが「どんな雰囲気か」だけは、書き忘れてもAIが動いてしまうんです。それっぽいものが、ちゃんと出てくる。だから抜けたことに気づけません。

1本目は「朝の光みたいに明るくて、あたたかい雰囲気で」と書きました。2本目は早く仕上げたくて「タイトル動画を8秒で作って」だけになった。どちらも動きました。でも並べると、別のシリーズの動画です。

雰囲気の指定は、書かなくても動く。だから毎回、静かに抜け落ちていきます。


指示の言い方3段の比較。「おしゃれな感じで」は×、「明度を上げて彩度を落として」は△、「朝の光みたいに」は○

形容詞をやめて、情景で言う

ここが、この記事でいちばん持って帰ってほしいところです。

「おしゃれな感じで」——これは伝わりません。AIにとって「おしゃれ」は無数の方向に開いていて、どれを選んでいいかわからないからです。

じゃあ細かく書けばいいのか、というと、そこにも落とし穴があります。「具体的に書けと言われても、具体的に書いたら書いたで想像と違うものが出てくる」という声も見かけます。私もそうでした。「明度を上げて彩度を落として暖色系で余白を広めに」——たしかに伝わります。でも、毎回これを書くのは正直しんどい。1本作るたびに仕様書を書いている気分になってきます。

私がたどり着いたのは、その中間にある言い方でした。

「朝の光みたいに明るくて、あたたかい雰囲気で」

短いのに、伝わる。形容詞ではなく、情景です。

実際に第1回で使った指示文が、これです。

5秒のタイトル動画を作って。
「はじめての動画」という文字が中央にふわっと出てくるだけでいい。
朝の光みたいに明るくて、あたたかい雰囲気で。16:9で。

「何を」「どんな雰囲気で」「何秒か」の3部品が、この短さに全部入っています。

情景で言うと、色・光・温度・時間帯がまとめて伝わります。「朝の光」と聞けば、クリームやピーチの暖色、やわらかい明るさ、ゆっくりした動き——そのイメージが一言に乗っかってくる。

細かく書くのではなく、短く言い換える。形容詞ではなく、情景。 ここだけ覚えて帰ってもらえれば十分です。


「朝の光」以外に、何が使えるか

情景で言うのがいい、と言われても、とっさに出てこないと使えません。

そこで、言い換えの候補を書き出しておきます。全部を試したわけではないのですが、「朝の光」がうまくいった理由を分解してみたら、選び方の軸が見えてきました。

軸は3つです。時間帯・天気・場所。 このどれかが入っていると、AIが受け取れる情報がぐっと増えます。

  • 朝の光が差し込む — 明るい/クリーム・ピーチの暖色/ゆっくりした動き
  • 夕暮れの帰り道 — 少し暗い/オレンジから紫へ/ゆっくり
  • 曇りの日の窓辺 — 中くらいの明るさ/灰みがかった色/静か
  • 雪の朝 — 明るい/白と淡い青/音がない感じ
  • 焚き火のそば — 暗い/橙と赤/ゆらぎのある動き
  • 図書館の静けさ — 少し暗い/茶と生成り/ほとんど動かない
  • 真夏の海辺 — とても明るい/青と白/速い動き
  • 夜のネオン街 — 暗い/鮮やかな青とピンク/速い

情景の言い換え8種を並べたカード一覧。朝の光・夕暮れ・曇りの窓辺・雪の朝・焚き火・図書館・真夏の海辺・夜のネオンと、それぞれの明るさと色の傾向

使いながら気づいたコツが、3つあります。

1. 時間帯が入っている言葉は強い。 「朝」「夕暮れ」「夜」が入るだけで、光の色と明るさが同時に決まります。逆に「カフェっぽく」のような場所だけの言葉は、まだ広すぎて絞りきれません。カフェは朝も夜もあるからです。

2. 天気を足すと、さらに絞れる。 「窓辺」だけだと曖昧ですが、「曇りの日の窓辺」にすると、コントラストの低さまで伝わります。晴れか曇りかで、影の濃さが変わるからだと思います。

3. 「〜みたいに」を付ける。 「朝の光で」と書くと、朝の風景そのものを描こうとすることがあります。「朝の光みたいに」と付けると、風景ではなく雰囲気のほうを受け取ってくれる感触があります。

この3つがわかると、自分の言葉も作れるようになります。「実家の台所みたいに」「体育館の朝みたいに」——他人に通じるかは怪しくても、AIには意外と通じます。自分だけの語彙が増えていく感じが、けっこう楽しいところです。


📺 第1回の動画で見る

上の指示文を入力してから動画が出てくるまでを、そのまま収録した回があります。文章だけだとイメージしづらいところは、こちらで補ってもらえたらうれしいです。

https://www.youtube.com/watch?v=BgJHf9_CHJ4


AIがノートに雰囲気メモを書いている図。ノートには色・書体・動きの速さの3項目が並んでいる

メモは自分で書かない。AIに書かせる

情景で指示すればいい、というのはわかりました。でも、毎回その情景を思い出して書くのも、それはそれで続きません。

そこで、1本目が完成した直後に、こう頼みました。

この動画の雰囲気を、つぎも再現できるようにメモにまとめて。
色、書体、動きの速さの三つを、短く。

出てきたのは、「色」「書体」「動きの速さ」の3つの見出しでできた、27行のメモでした。抜粋するとこんな内容です。

## 色
暖色だけで作る。白と黒は使わない。
- 背景: クリーム #fff5e0 → ピーチ #f4e0d6 のグラデーション
- 光: 左上に陽だまり #fffae8 → #ffd69c(大きくぼかす)
- 文字: 焦げ茶 #5b4230
## 書体
明朝体・細め。大きく、字間を広げる。
## 動きの速さ
5秒の中で、ゆっくり明るくなって、すっと消える。

色コードを自分で調べて書いたわけではありません。その色を実際に選んだのはAIのほうです。少なくとも今回は、私が後から画面を見て推測して書くより、こちらのほうが正確でした。

ここは実際にやってみて、いちばん「あ、そういうことか」と思ったところでした。自分の中にある雰囲気を言語化するのは難しいのに、出来上がったものの言語化は、今回はAIに任せたほうが楽だったんです。


1本目と2本目のタイトル画面が同じ朝の光の雰囲気で並び、その間をメモがつないでいる図

空のプロジェクトに、メモだけ渡す

次の動画を作るとき、新しいプロジェクトを空のまま開きました。色の指定も書体の指定も一言も書かずに、さっきのメモと、次の一文だけを渡します。

このメモの雰囲気で、自己紹介のタイトルを八秒で作って。
名前は suzumin。下に「記事から商品まで、つくっています」。

出てきたのは、前回と同じ「朝の光」の雰囲気の動画でした。並べると、ちゃんと同じシリーズに見えます。

毎回ゼロから情景を考える必要が、これでなくなりました。メモを渡すだけで、雰囲気のほうが引き継がれていきます。


同じ焦げ茶の文字を2つの背景で比較した図。クリーム背景ではコントラスト比8.63対1で読めるが、暗い写真の上では1.71対1で読めなくなっている

メモは万能だと思っていた。ただ、「適用範囲」が書かれていなかった

ここからは、動画では話しきれなかった続きです。

このメモ、万能ではありませんでした。第3回で写真の上に文字を乗せた瞬間に、破綻したんです。

メモには「文字: 焦げ茶 #5b4230」と書いてあります。第3回で使ったクリーム色の背景(#fdf6ec)の上では、コントラスト比が 8.63 : 1。問題なく読めます。

ところが、実際の写真の暗い部分を測ったら、同じ焦げ茶が 1.71 : 1 になりました。読めません。

メモは嘘をついていないんです。ただ、「この色は何の上に乗る前提か」という適用範囲が、最初から書かれていなかっただけでした。

このとき、コードだけ直して先に進もうとしました。でもそれをやると、次の回でまた同じことが起きます。だから、続けてこう頼みました。

いまの直しかたを、メモにも書き足して。
写真の上に乗せるときはどうすればいいか。

メモに追加されたのが、この一節です。

写真をそのまま敷くと、焦げ茶の文字が沈んで読めなくなる。
写真を暗くするのと、文字の側を明るくするのを、両方やる。
濃さは行の終わりまで保つ。
途中で薄くすると、長い行の後半だけ読めなくなる。

起きた失敗が、そのまま再発防止の一文としてメモの中に残りました。

メモは、1回作って終わりのものではありませんでした。うまくいかなかったときに一行ずつ足していくもの。そう考えるようになってから、次の回で同じところにつまずくことが減りました。


もうひとつやめたこと。画面で動かして見せようとしない

これも動画では話していない、始めたばかりのころの失敗です。

「この文字をもう少し右へ、写真はもう少し下へ」——配置の話って、言葉にするのが意外と難しいんです。

そのとき私は、HyperFramesの「Studio」という画面で、素材を自分で動かしました。見た目を整えてからスクリーンショットを撮って、「こうしてほしい」とAIに渡すつもりだったんです。図で見せたほうが早いと思っていました。

でも、ここで勘違いをしていました。

Studioは、その場で自分で編集できるツールです。私は「仮に動かして見せるだけ」のつもりでしたが、動かした時点で、それは編集そのものでした。 AIが書いたものを、私が横から書き換えてしまっていたわけです。

そのあとが大変でした。どこが変わって、どこが変わっていないのか。それを調べ直すところから始めることになって、早くするつもりが、かえって手間が増えてしまいました。AIの作業を、自分で邪魔してしまった形です。

しかも、この直し方だと記録が残りません。手で動かした位置は、メモには書き足されないんです。次の動画には引き継がれず、その1本かぎりで終わってしまう。この記事でずっと書いてきた「決めたことを書き留める」の、ちょうど逆をやっていたわけです。

いまは、配置も言葉で頼むようにしています。「もう少し右へ」で伝わらなければ、「画面の右から3割くらいのところに」と足す。遠回りに見えて、こちらのほうが結局早い。頼んで直せば、そのまま「いまの直しかたを、メモにも書き足して」と続けられるからです。

手を動かしたくなったときこそ、いったん言葉にする。ここが、いちばん効いた習慣かもしれません。


まとめ

この記事でお伝えしたかったことを、4つに整理します。

  1. 「雰囲気」は書かなくてもAIが動くので、毎回こっそり消える。 意識して書かないと、2本目から雰囲気がバラけていきます。
  2. 形容詞ではなく、情景で言う。 「朝の光みたいに明るくて、あたたかい雰囲気で」——短いのに、色・光・温度がまとめて乗ってきます。
  3. メモは自分で書かず、AIに書かせて育てる。 1回作ったら終わりではなく、うまくいかなかったときに一行足していく。それが再発防止になります。
  4. 画面で動かして見せようとせず、言葉で頼む。 自分で動かすと状態が追えなくなるうえ、その修正はメモに残らず、次に引き継がれません。

もし一つだけ試すなら、これをおすすめします。いま使っている「おしゃれな感じで」を、ひとつの情景に言い換えてみてください。 「朝の光みたいに」でも「夕暮れの帰り道みたいに」でもかまいません。一言変えるだけなので、5秒あればできます。

この記事が参考になったら、ぜひフォローしてみてください。続きの記事が届くようになります。「ここがわからなかった」「こういうときはどうする?」など、コメントで気軽にどうぞ。 次に書くことのヒントにさせてもらいます。


📺 この記事の内容を動画で見る

この記事で書いたことは、講座の第2回としてまとめています。文字だけだとイメージしづらい「メモを作らせる」「メモだけ渡して作る」のあたりは、実際に動いている画面で見るほうが早いと思います。

公開までしばらくお待ちください。 公開されたら、ここにリンクを追記します。


あわせて読みたい