AIに競馬必勝法を頼んだら「買わないのが正解」と返ってきた実録検証
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「AIに聞けば、きっと勝てる予想が出てくるはず」——そう思ったこと、ありませんか? Xを開けばAI競馬指数を毎日投稿するアカウントが並び、「自分もやってみたい」という気持ちが湧いてくるのは、ごく自然なことだと思います。でも、いざ試してみると、AIは思いもよらない答えを返してきました。「買わないのが正解です」と。
この記事は、非エンジニアの私しんえもんが、Claude Codeというコーディングエージェントを相棒に、実際のJRA-VANデータで競馬予想モデルを組んで検証した一部始終を、失敗も含めて包み隠さず書いた実録です。「AIで競馬を攻略できるのか」というシンプルな問いへの、正直な答えをお届けします。(先にお伝えしておくと、これは馬券購入を勧める記事ではありません。AIへの向き合い方とデータの読み方についての話です)

AIがあれば精度の高い予想ができる、と思っていた
AIに聞けば、自分でも精度の高い予想ができるのではという淡い期待を持つ人は少なくありません。実際、AI競馬指数を毎日公開するXアカウントが増えており、「自分もやってみたい」と感じる人は多いはずです。
Xのタイムラインを眺めていると、「AI競馬指数で今週も的中!」「回収率150%超を継続中」という投稿が目に飛び込んできます。フォロワーも多く、グラフや数字もきれいに整っている。「もしかして、自分もAIを使えば同じことができるんじゃないか」という淡い期待を持つのは、無理もないことです。
私も最初はそう思いました。ChatGPTに「今週の重賞の予想を出してくれ」と入力した瞬間、なんとなく「これで勝てるかも」とワクワクしたのを覚えています。非エンジニアでも、AIというツールさえあれば、プロ級の分析ができる気がしていました。
「本当に検証してみよう」と、生データを掘り起こした
回収率150%超を謳うアカウントがある一方で、リアルタイムの結果を追いかけると的中率25%台・回収率69%台に落ち着く例もあり、「その数字は本当に継続するのか」という疑念の声があります。
ここで、私たちは開き直りました。「Xで見かける数字を信じるか疑うかを議論するより、自分たちで検証すればいい」と。
幸い、手元には長年放置していたJRA-VANの生データがありました。1986年から2023年まで、124,475レース分。これをSQLiteデータベースに変換し、Claude Codeを使って本格的にバックテストを組んでみることにしたのです。
AI競馬に本気で取り組んだある実践者は、ClaudeとCodexを半年間併用し、機械学習をぶん回し続けました。それでも結果は「勝てなかった」という一言に尽きたそうです。また別の反省として、「AIに『作って』と丸投げしてしまったのが失敗だった。ロジックの確認→すり合わせ→システム化という段階を踏むべきだった」という声もありました。
これは非常に重要な示唆でした。AIは「答えを出すツール」ではなく、「一緒に検証するパートナー」です。だから私たちも、丸投げはせず、一つずつ仮説を立てて数字で確認する、という進め方を選びました。

実際にモデルを組んで、市場(オッズ)に挑んでみた結果
「半年間、ClaudeとCodexを併用して機械学習をぶん回したが、結局勝てなかった」という実践者の失敗談があります。
正直、この言葉が頭をよぎりながらの検証でした。ですが、数字で確かめるまでは分かりません。手順を追って書きます。
ステップ1: まずベースラインを測る
単勝を全馬べた買いした場合の回収率は71.1%。1番人気の馬だけを買い続けた場合は76.7%でした。人気馬が過小評価され、穴馬が過大評価されるという「favorite-longshot bias」の傾向が、このデータでも見られる結果でした。
ステップ2: 馬・騎手の過去成績だけでモデルを学習させる
時系列に沿ってデータを分割し、未来の情報が学習に混ざらないよう注意しながら、勝率を予測するモデル(LightGBM)を組みました。結果、テストデータでの識別性能(AUC。勝った馬とそうでない馬をどれだけ見分けられているかの指標)は0.737。
一方、オッズから逆算した「市場が暗黙に見積もっている勝率」のAUCは0.834。市場の方が、明確に精度が高かったのです。
ステップ3: 「モデルと市場の意見が大きく割れる馬」だけに絞ってバックテストする
「市場が見落としている馬を、モデルなら見つけられるのでは」という期待を込めて、モデルと市場の予測が大きく食い違う馬に絞って購入シミュレーションもしました。期待値の閾値を上げるほど――つまり「自信のある食い違い」だけに絞り込むほど――回収率は上がるどころか、今回の設定では68.2%から59.5%へと下がっていく傾向が見られました。
つまり、食い違いの正体は「市場の見落とし」ではなく「モデルの情報不足による誤り」に偏っていた、ということです。
ステップ4: 粘って、もう2回だけ追加の検証もしてみた
- 距離やトラックコードという情報を加えれば変わるのでは、と考え、JRA公式のデータ仕様書をバイト単位で読み解いて実装しました。この特徴量を追加したモデルで再度学習し直したところ、結果はAUC 0.734→0.739と、ベースラインの0.737からほぼ変化なし。
- 「仮に事前オッズ(確定前の途中オッズ)を使って検証できれば、確定オッズとの差(スリッページ)を突けるのでは」とも考えました。ただし手元のデータには、そもそも中間オッズの記録が存在していませんでした。検証しようにも材料がなかった、という結末です。
AIを競馬予想に使うなら、これだけは守ってほしい
「AIに『作って』と丸投げせず、ロジックの確認→すり合わせ→システム化と段階を踏むべきだった」という反省の声もあります。
今回の検証を通じて実感したのは、まさにこの言葉の重みです。私たちも、Claude Codeに丸投げしたわけではなく、仮説を立てては数字で確認し、失敗したら次の仮説に切り替える、という地道な繰り返しでした。同じように挑む方に伝えたいポイントを整理します。
1. 「的中率」ではなく「回収率」で見る 当たるかどうかより、長期的にお金が残るかどうかが本質です。控除率が約20〜27.5%ある以上、ここを超えられなければ、どんなに”当たった気がする”予想も意味を持ちません。
2. モデルと市場が割れても、それは「チャンス」とは限らない 食い違いをそのままチャンスと信じるのは危険です。まず「なぜ割れているのか」を疑うところから始めてください。
3. 特徴量を増やせば勝てる、は思い込みかもしれない 距離やトラックといった情報を足しても、市場との差はほとんど縮みませんでした。素朴な特徴量の追加だけでは、簡単には市場を超えられません。
4. データがなければ、検証はそこで終わる 中間オッズのように「あるはずだと思っていたデータ」が、実際には存在しないことも珍しくありません。検証したい仮説より先に、手元のデータで何ができるかを確認する必要があります。

「AI×競馬」の限界と、それでも活用できること
ここまで読んでいただいた方には、率直にお伝えしたいことがあります。
AIは競馬の「必勝法」を教えてくれません。それはAIが不完全だからではなく、競馬という仕組みそのものが、参加者全体では控除率分だけマイナスになる構造だからです。控除率約25%という壁は、AIをもってしても簡単に乗り越えられるものではありません。
ただし、AIが役立つ場面はあります。過去データの傾向分析、自分の予想ロジックの言語化と検証、感情的な判断のブレを抑えるセカンドオピニオン——こうした「思考の補助」としての使い方は、非常に価値があります。
「AIで楽して勝ちたい」という期待は、残念ながら現時点では難しい。でも「AIを使ってより冷静に考える」という姿勢は、競馬に限らずあらゆる場面で生きてきます。
このブログでは、私しんえもんがAIを日常で使い倒した体験を、失敗も含めて継続的に発信しています。「AIって結局どこで役立つの?」という疑問を持つ方に、少しでもリアルな答えを届けたいと思っています。
今この瞬間にフォローする理由
AI活用の情報は、日々のスピードで変わっています。半年前の「使えない」が、今日の「使える」になっている領域も多いです。
今回の検証も、今回の設定・今回のデータの範囲で分かったことにすぎません。距離やトラック以外の特徴量を試したら、地方競馬のデータで試したら、結果は変わるかもしれない。だからこそ、私たちはこの先も追加検証を続けていくつもりです。「その後どうなったか」を知りたい方は、今のうちにフォローしておいてください。
Xでは「回収率150%超」という数字が今も流れていますが、その裏側を追いかけると的中率25%台・回収率69%台という現実が見えてくる——こうした検証を、私は今後も続けていきます。
フォローしていただくと、AIを日常で試した最新の実録が届きます。「AIに期待しすぎて失敗した」「思わぬ場面で役立った」——そういうリアルな話を、これからも包み隠さず書いていくつもりです。

まとめ
今回、124,475レース分のJRA-VANデータで実際に検証して分かったことを整理します。
- 単勝ベタ買いの回収率は71.1%、1番人気のみだと76.7%。人気馬が過小評価される歪み(favorite-longshot bias)は実在した
- 馬・騎手の過去成績だけで組んだモデルの精度(AUC0.737)は、オッズから逆算した市場の精度(AUC0.834)に届かなかった
- モデルと市場が食い違う馬に絞ってバックテストするほど、回収率は68.2%→59.5%と悪化した
- 距離・トラック情報を追加しても精度はほぼ変わらず(0.734→0.739)、時系列オッズの検証は記録が存在せずそもそも不可能だった
- 「AIに競馬必勝法を聞いたら、買わないのが正解と返ってきた」という話は、少なくとも今回の検証範囲では、そう考えるのが自然な結論だった
完璧な必勝法を求めるより、小さな仮説を立てて数字で確かめる——その地道な積み重ねが、AI活用のいちばんの近道だと、この検証を通じて改めて感じました。
もし「自分でも身近なデータでAIと検証してみたい」と思ったら、対象は競馬でなくても構いません。株価の値動きでも、日々の家計データでも、まずは小さな仮説を一つ立てて、AIと一緒に数字で確かめてみてください。そして、ぜひ気づいたことをコメントで教えてもらえると嬉しいです。あなたの体験が、次の記事のヒントになります。
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